ARCANA 第二章~小さな世界~ No.13  (約3952文字)

「…………。」
暫く無言で考え込んでいたヴァースは大きく深呼吸をすると、気を取り直しゆっくりと話し始めた。

「おれはこの町の近くの村で生まれ育ったんだが…
 結構な田舎でね、ちゃんとした医者っていうのが居なくて、何かあった時はここまで来なきゃならなかったんだ」
昔を思い出すように遠くを見つめながら話すヴァースを、レイモンドは黙ったまま見つめる。
「ま、普段は別にそんなに困ったことはなかったんだがね。
ただ、おれがまだ小さい頃――
 もうかなり昔の話なんだが、おれの村はもちろん、ここやフォリスの町の方まで、かなりの広範囲で疫病が蔓延したんだ。
……それがまあ~感染力が強くて、おまけに死亡率まで高い厄介なやつだったのよ」
そこまで穏やかに言うと、ヴァースはゆっくりとグラスを傾けた。
……フォリスの町って言えば、この前まで俺達がいた所だよな……
正午の日差しの中で輝く教会の鐘を思い出しながら、レイモンドは頷いた。
「あんときゃホントにこの世の地獄だったね。あちこちで死体が転がってるのさ。
 埋葬が間に合わないくらいだったんだ」
……そんなに酷い状態だったのか……
「ま、話が長くなるから搔い摘んで話をするとだな、そん時におれも、双子の弟を亡くしたのさ。
 そりゃあもう、体の半分を失ったようなショックだった…。
 仕方ない話だったんだが…なんたって田舎過ぎて、ちゃんとした治療施設もなかったのよ……さっきも言ったように、ちゃんと診られる医者もね。
 それでも、医者がもっと居ればもう少し結果が違かったんじゃないか…そう思ったのよ」
そう言いながら、ヴァースは遠くを見つめ、目を細めた。
……ふ、双子だったのか……
二人のヴァースを思い浮かべ、レイモンドは慌てて思考を切り替える。
「んで、その時小さなおれは誓ったんだ。立派な医者になって大事な人達を失う悲しみを無くしてやる…ってね」
いや~あんときゃ若かったね~と言いながら、軽く頭を掻き
「当時から、このヴォールの町の医療知識は有名でね。
 何年か過ぎたあと単身で村を飛び出して薬屋に住み込みしながら、薬草を調合したりして学費を稼いで、学び舎で医者になるべく勉強したのさ」
おれの青春勉強漬けだったのよ、と笑い
「この町は本当に不思議な所だったな。
 最初は医学の勉強を進めていたんだが、興味をそそられる資料や本も多くて、読み漁っているうちに、回復魔法ってのを知ったんだ」
「最初から回復魔法を目指してたんじゃなかったのか」
レイモンドも紅茶を飲みながら、頷いた。
「当時は神殿の力の方がやたらと強かったからね。
 生命の根源的なものを扱うのは専ら神殿の特権だったのよ。
 知識の蓄積は学び舎の方が多かったんだが、当時の学び舎ではそれを活かせる機会が少なくて進んで研究をしようとする人間はまだ殆どいなかったな。
 回復魔法の文献や資料は特権階級の独占の為に特別扱いで、それに関わる雄株のラシル・ジャルデミアの詳しい情報も極秘扱いの物だったから、どこの馬の骨ともわからん新米の学生が見せて貰えるようなシロモノじゃ無かったのよ」
そんときゃおれもまだまだピチピチの学生だったからねぇ~とヴァースが言うと、
「ぴちぴち……」
とレイモンドは小さく呟き苦笑した。
「それでな、学び舎でも一部の神事を執り行っていたんだが、それを手伝っているうちに、ラシル・ジャルデミアの話を知って、やっぱり実際に回復魔法に触れてみたくなってね。
 しばらくヴォール周辺の初歩的な回復魔法の技術を持っている神殿を渡り歩きながら修行したのよ。」
ピチピチの学生が神官になったわけよ、と言う言葉にレイモンドは苦笑いを浮かべながら頷く。
……当時からこんな調子だったのかな……
うっかりぴちぴち時代のヴァースを想像し、レイモンドは思わず紅茶の手を止める。
「んで、いくつかの町や村を渡り歩きながら怪我人の治療などをして経験を積みつつ自力で研究を続けて腕を磨いて、再びこの町の学び舎に戻ってきた頃には、おれもナイスミドルなオジサマになっていたわけだ」
……これは突っ込んでいいのか判断しがたい……
無反応を決め込む選択肢を選んだレイモンドは、静かに紅茶のグラスを傾けた。
そんな事にはお構いなしにヴァースは話を進める。
「気が付いたらおれも、学び舎でも一目置かれる位のレベルになってたらしくてね。
 学び舎の一角の小さな部屋を与えられて、回復魔法の研究にも没頭できる身分になったのさ」
それでもまだこの町では回復魔法はごく一部の人間のための特別なものだったんだけどね、と溜息を付く。
……最初から平等に使えるような環境では無かったんだな……
「そんなある時、ナイスミドルなおれにも転機が訪れた。
 学び舎の理事長が町の大通りで暴走した馬車に撥ねられて、瀕死に近い重傷を負ったんだ」
ツッコミを入れることを諦めたレイモンドは、黙って頷いた。
「ま、これも話が長くなるから簡単に言うと、神殿側の回復魔法でも間に合わなくて、結果的に各地で修行して回って腕を上げていたおれの回復魔法でなんとか一命を取り留めたんだ。
 でも当時はまだ今ほど研究が盛んではなかったこともあって、四肢の機能までは回復しなかったのよ」
ただ命が助かっただけ、って感じだったなと、ヴァースは当時を思い返しながらヒゲを撫でた。
「四肢の機能までは回復できなかったのか……」
俺から見ると、どんな怪我でも治せそうなイメージがあったんだが…とレイモンドが些か驚いた様な反応を見せると
「残念ながら、回復魔法って言っても万能じゃないのよ。所詮人間が扱うものだからね。
 今はそれでも研究が進んだお蔭で、時間をかけて、尚且つ条件が揃えば治らないことも無いんだが…。
 体の一部が大きく欠損するような大怪我は、未だに治せないことの方が多いのさ」
医者のジレンマみたいなもんだーね、と自嘲気味に笑うと、
「まあ、そんなこんなで、理事長は寝たきりの身になってしまったんだが、そこでようやく町の事も色々と考える時間が出来たのか、もっと回復魔法の研究のすそ野を広げなきゃいけないと気づいたらしくてね。
 学び舎の殆どの権限をおれに譲ってくれたのさ」
そこまで話し、もっと早く言っててくれりゃーねぇ、と苦笑いを浮かべた。
「でもまあ、おれにとっても凄く有難いことだったのよ。
 もっとこの町に住む一般の人達も気軽に回復魔法の恩恵を受けることが出来るように、若い優秀な人材を集めて、回復魔法を広めたんだ。
 学び舎の診療所も、その時に大きくしたのよ。
 ……んで、結果的に学び舎の地位が上がって、相対的に今まではほぼ独占的な権限を持っていた神殿の地位が下がっていったのさ」
もちろん神殿を困らせたかったわけじゃ~なかったんだがね、とヴァースは溜息をついた。
……なるほど……それは神殿側にしてみると、面白くなかったのかも知れないな……
「当時から既に学び舎と神殿は交流が殆どなかったんだが、警戒を強めた神殿側と更に関係が悪くなってきてね。
 目の敵にされているような部分もあったかもな」
と、溜息を付きながらグラスを傾けた。
「ただね。当時は悪いことばかりじゃなかったのよ。
 なんと、そんな一生懸命に頑張る品行方正でナイスミドルなおれに、ちょっとした春が来たのさ」
「えっ…?」
意外な方向への展開に、レイモンドは短く驚きの声を上げた。
……青春時代から勉強漬けだったのにいきなり⁇
思わず品行方正と言う言葉にもツッコミを入れ忘れ、レイモンドは目を瞬く。
「おれは気が付いていなかったんだが、陰ながら見守ってくれていたらしいのよ」
心持ち照れくさそうにヴァースは左手の人差指で頬を掻く。
……あれ…でもちょっとまてよ……?
「でも確か、学び舎に女性は入れなかったんじゃ……?」
呟くように発せられたレイモンドの問いに
「そうなのよ。話が出来るのは街に出た時だけだった。
 ……悲しいことに、ここの神職関係の人間は職業柄、結婚は認められていないのさ。
 それどころか、体の付き合いすら一切認められてないのよ。
 学び舎の外でなら傍にいること自体は咎めは無いんだがね」
いや~自分で選んだ道とはいえ辛いねえ~…と言いながら、ヴァースは、ふー、と悲しそうに溜息をつき、
「だから、相手にはその旨を伝えて、一旦は一緒にいることを断ったんだ。
 でも、それでもいいって言ってくれてな……」
そんなおれでもいいって言ってくれる人が現れるなんて思ってもみなかったんだがね、学び舎にも入らないと言う約束で、町はずれの小さな家で静かに暮らすことになったのよ、と複雑な笑みを浮かべる。
「それでもいいと言ったのか……」
「体を重ねるだけが愛じゃないだろ?」
やや寂し気に、それでも淀みなく返ってきたその返事に、初対面のリーザに鼻の下を伸ばしていた男の発言とは思えず、レイモンドは思わず耳を疑った。
「……なんか…意外だな……」
……第一印象が悪すぎたからか……?
狐につままれたようなレイモンドの表情を見て
「失礼な。そんなに意外かね~?
 意志が弱かったら務まらないでしょーに、魔術師も似たようなもんだって聞いたことがあるんだがね」
さほど怒った様子でもなく、その外見で本当に勿体ないよな~と軽く流すように笑う。
……ん? 尻をいきなり触るのは意志とは関係ないってことか……⁇
ひげ面にジワジワと現れ始めている頬のモミジを確認し、まだ軽く混乱したまま眺めていると、ヴァースは真顔に戻り
「……まあ、そんな事情を抱えてはいたんだが、それなりに幸せだったんだ。……あの時までは――」
そこまで言い終えるとテーブルの一点を見つめ、表情を曇らせた。

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あとがき


今回から「あとがき」より前にナビゲーター(←前へ 次へ→)を入れることにしました。
あとがきは余談の意味合いが強いので、飛ばしていただいても全然構わないので……。
(↑折り返しにしておいた方がいいのかなとかも考え始めてます)

前回の部分から、やたらと時間が空いてしまいました… orz ごめんなさい(汗)
(シリアス部分(込み入った部分)で止まると再開させるのが大変な事が身に染みました…)

何回か、下書きを書いてはボツに…を繰り返して

ていく・わん
 → いきなりヴァースのおっちゃんが昔を思い出して怒り出した
 → 収拾がつかなくなった orz ボツ

ていく・つー
 → 二人して黙り込む
 → 話が止まった orz ボツ

ていく・すりー
 → 話し始めたはいいものの、肝心なところを話さない
 → 無駄に長くなりすぎた orz ボツ


……とか何とかその他色々とやり直して、ようやく少しマシなシーンになったかな… ><;
(台詞が長くて読みづらいですね…

まだまだ感覚が戻り切れていませんが、少しずつでも進められたらいいな~、と思っています。


で、今回は……さらっと流してしまおうかと思ったのですが、
今回ちょこっと出て来た、神職と魔術師の「ご法度」について。


……って、やっぱり流します…… orz 書いてみたら長くなりすぎた~

theme : 自作小説(ファンタジー)
genre : 小説・文学

雑記&らくがき:更新が遅れてしまいました ><;

もうじきゴールデンウィークに入りますね。
こんばんは、ふぉるてです。

ここの所、オフラインの方がドタバタしておりまして、
先週は更新できませんでした。すみません orz



みどりの日は、4月29日→5月4日に変わっていたらしいですね。
どうもまだ4月29日の感覚が強いのですが…



ようやく、本編の続き(下書き)を少しだけ書くことが出来ました。
読み返してみたらちょっと辻褄が合っていなかったので、少し書きなおしています… orz
(こんなにややこしくなっていたとは自覚が無く…)
もうじき少しずつ再開できそうです~
(またすぐに止まる可能性も否定できませんが~… orz)

らくがき?:既存の絵をちょっとだけ動かしてみました

いつもありがとうございます。こんにちは、ふぉるてです。

え~と…何を急に思いついたのか、
既存のイラストを動かしてみたらどうだろう? などと思いまして… >ω<








試作品その1(flashファイル)

あれ…ブログの編集画面だと普通に映っているのに、
テンプレート適応すると絵の上にスペース(空白行)が…
ま……まあ いいか orz

今回はただランダムに瞬きするだけ&髪の毛が少し揺れるだけ、です。
(頑張れば時間帯によって変わったり、台詞を入れたりも出来るのですが… ><;)

結論としては……
ちゃんとアニメーション用に1から描いた方がやっぱり無難なようです orz



(flashが表示できない環境の方もいるかもなので…)
こんな絵です(静止画)↓

雑記:ひとつお詫びが…汗

こんばんは、ふぉるて@携帯です

ええと 早めにお詫びをしておかなければ~…と言うことで 急いで書いておりますです ><


実は…オフ会のお話の中で ソメイヨシノを「数百年間受け継いで」みたいな感じで書いたのですが
もう一度調べ直したら「江戸末期」になってました
一応調べたのに 末期を読み落としてた~… orz なんてこった
初期と勘違い


すみません、結果的にかなり大嘘を書いてしまった感じです……
(しかも直しが効かないや)

以上 お詫びと…訂正しきれないけどお知らせでした

オリキャラオフ会in松江・3(完結)

いつもありがとうございます、こんにちは、ふぉるてです。
ただいまオリキャラオフ会のイベントに参加中でございます~。m(_ _)m”


イベントを企画してくださった、八少女さんのブログ「scribo ergo sum」はこちらです~


らくがき:オリキャラオフ会in松江
オリキャラオフ会in松江・2
の続きでございます。
(長くなってしまいました、すみません ><;)



店の店主らしい老人の後に続いて店の中に入ったレイモンドは、案内されるままに奥の席に座った。
……静かな店だなあ。
老人に勧められるままに蕎麦を頼むと、辺りの様子を観察しながら、客の静けさが気になった。
小さな声で一つ二つと会話を交わす人もいるが、大体は静かに食べている。
ルクト王国の食堂では大声でお替わりを頼む人も多く、レイモンドには不思議な光景に見えた。
「おまちどうさま」
笑顔で蕎麦の入ったどんぶりが運ばれ、テーブルの上へと置かれた。
……これがソバか……
どんぶりの中をのぞき込むと、ネギなどの具材と、澄んだ茶色いスープに灰色の麺が入っている。
……で……どうやって食うんだ……?
テーブルの上を見てみても、スプーンやフォークはなく、木の棒がたくさん入れてある筒が立ててあるだけだった。
ほかの客をこっそり観察してみると、皆器用に木の棒を2本使い、啜るようにして食べている。
(あれはオハシという物だそうでございます。この国では普通に使うそうですので、ここで使い方を習得しておきましょう)
……この棒を使うのか……
頭の中に直接響いてくるハゾルカドスの説明を聞きながら、見様見真似で割り箸を割り、2本の棒にすると、左手に持ち、やはり見様見真似で食べてみる。
が。
……む……難しい……!
思うように蕎麦を口に運べず四苦八苦してしまう。
口を開けたはいいものの、うまく掴めなかった麺がポチャリとどんぶりへと逃げていく。
そんな格闘を老人が微笑まし気に眺めているが、苦戦しつつもとにかく何とか食べていると
(美味しそうでsu~~! 摂生も食べてみたいでsu!!)
(どんな味なんだ⁇ まったく想像できないんだが…)
と、頭の中でハゾルカドス越しの詩人とリーザの声が響く。
……どんな味か……というと……例えづらいなあ……。
ルクト王国で食べているような小麦粉の麺の味ではない。
(……ん~……スープはあっさりしていて……麺はソバの味だ……)
(それじゃあわからん!)
(しょうがないだろ、説明しづらい味なんだからさ……。独特の香りがあるあっさりした味だよ)
(へっぽこ魔術師の説明は役に立たないでsu~~)
……そこにいくか、そこに……
などと頭の中で賑やかな会話をしつつ、徐々に慣れてきた箸でなんとか麺を平らげ、つゆを飲み乾した。
「美味しかった? 今日は寒いからね、これで温まったならいいのだけど…」
レイモンドがどんぶりを置いたのを見計らって、老人は布巾でテーブルを拭きながら皿を下げ、微笑んだ。
……変わった味だったけどうまかったな。
レイモンドはコクリと頷くと、ハゾルカドスの案内に従って財布の中の「エン」を取り出す。
ルクト王国では硬貨が主流だが、ここでは紙のお金が主らしい。
……やけにしっかりした綺麗な紙だな……
少し珍しそうに眺めてから、老人へと渡す。
「ありがとうね。 ゆっくり楽しんできてね」
老人は笑顔で紙幣を受け取ると、笑顔で硬貨のお釣りを渡した。
……紙幣の方が金額が大きいんだな……
小銭のお釣りを受け取り、財布へとしまうと、
「御馳走様でした」
通じるとは思っていなかったが、レイモンドが気持ちを言葉にすると、
「楽しんできてね」
と老人は笑顔で手を振った。


「ふう……うまかった……」
小さな店の暖簾(のれん)を手で上げながら一息つくと、
……そういえば……いくら今日が寒いからって……どうしてあんなに「温まって」なんて言われたんだろう……
少しだけ不思議な気分になりつつ首を傾げ、再び歩き出した。
「さて…この後どうしようかな……」
そのあとのことは考えていなかったので、今後の予定を考えながら道を歩いていると
「うそ~~! まじで~~~!?」
……えっ……!?
すれ違った若い女性の言葉にレイモンドは思わずその場で足を止めた。
……この国の言葉が……わかる……⁇
自分の変化に驚きながら、周囲の会話に耳を傾けてみると
「いらっしゃい。中に入って見ていって!」
と言っている店主や
「ちょっとまって~~!」
と連れに手を振りながら走っていく人などの言葉が耳に入る。
……いつの間にわかるようになったんだ……⁇
突然の変化にあっけにとられつつ、看板に目を向けると、大きな文字の横に
「松江市内ガイドマップ差し上げます」
という小さな文字を読むことが出来た。
……文字まで読めるようになってるぞ……⁇
どういうことだ⁇ と混乱しつつ、じゃあ、さっきのソバの店の人…もしかして俺の言葉も通じてたとか…? と別れ際を思い出す。
ガイドマップを置いてある売店で、飲み物を売っていることに気が付いたレイモンドは、試しに恐る恐る
「これください。…あと、地図も…」
とペットボトルのお茶を指さしながら店の人に声を掛けてみた。
「ありがとうございます。150円です…あ、外国の方ですね、わかりました。おまけの飴と、外国の方にも解かりやすい方の、イラスト付きの地図もつけておきますね~」
とやけに嬉しそうな声が返ってきた。
……え……話せるようになってる……? いや…自分で言ってる言葉が変わったのか⁇
カサカサと軽い音を立てる白い袋の中にイラスト付きの地図とお茶を入れてもらい、内心で戸惑いながらレイモンドは商品を受け取り代金を渡す。
「ありがとうございました~」
満面の笑みの店員の言葉に見送られながら、変わった水筒だな…とペットボトルを眺め、再び歩き出す。
イラスト付きの地図を取り出し、不思議な門の絵が描かれたところを見つめ、
「イズモ……タイシャ⁇」
不思議と読めるようになっていた文字を呟くと
(この国の神様を祀ってあるところでございますね。ルクトで例えるならば神殿でしょうか……)
とハゾルカドスが答え、
(この国は一神教ではなく八百万(やおよろず)の神々を祀っておりますでございます。ここは、縁結びの神様で有名でございますね)
と続けた。
(ヤオヨロズ⁇)
(山や川、石や木など、森羅万象あらゆるものに魂が宿っているという考え方でございます)
ハゾルカドスの返事に、へえ…この国も精霊とかの存在を感じているのか……と少し親近感を覚えつつ、
(……縁結びっていうのは⁇)
(男女の縁を結ぶというのが有名でございますが、その他にも商売のご縁や日々の暮らしの中での良縁など…色々な種類の人との「ご縁」に御利益があるそうでございますよ。)
「ご縁…か。神殿もどんな感じなのか気になるな、イズモタイシャに行ってみるか」
と、次の行き先を決めたレイモンドは、袋の中へマップをしまうと再び歩き出した。


出雲大社に向かいながら辺りを見回すと、辺りには白~薄紅色の花を一斉に咲かせた木が至る所にあることに気が付いた。
「あの木はなんて木なんだ?」
ルクト王国ではなかなか見かけない木にレイモンドが呟くと、
(は、はい、ええと… 学名; Cerasus × yedoensis ‘Somei-yoshino’、バラ科サクラ属の交雑種で、オオシマザクラとエドヒガンザクラの……)
……ちょっとまてちょっとまて……
(おいおい、いきなりどうしたんだ⁇ 難しすぎて全然わからないぞっ)
(……はっ……し、失礼いたしました! つい「すまほ」に対抗意識を……)
……いつの間に対抗意識持ったんだ……
予想外のハゾルカドスの言葉に苦笑しつつ
(もうちょっとわかりやすいように説明してくれないか)
(か、かしこまりましたでございます。この国では「サクラ」や「ソメイヨシノ」と呼ばれて親しまれている木で、今から数百年前に(※1)この国の庭師と呼ばれる職人の手によって作り出された木なのだそうでございます)
(作り出されたのか)
(ルクトでも時々行われている、種(シュ)の掛け合わせでございますね。…ですがこのソメイヨシノという木は、純粋な同種の木とはなかなか種(タネ)を作らないのだそうで、数本の親木から、挿し木で増やしてきた…とのことでございます)
(へえ…挿し木で……)
その言葉に感心しながら、レイモンドは薄紅色の花を一斉に咲かせている木々が並ぶ景色を眺め
数百年も(※1)人の手で増やしてきたのか……この国の人たちは、この木が大好きなんだな……」
まだひんやりする風に髪をなびかせながら、遥か昔の人々に思いを馳せ呟くと、
(一斉に咲き、短期間に華やかに咲きほこった後に一斉に散る潔さと、人生や命の儚さを重ね合わせて、好まれていたようでございます)
「……命の儚さ……か……」
風に揺られてハラハラと散り始めた花弁に目を細めながら、レイモンドはしばしの間その場に佇んだ。


長くまっすぐに伸びた参道を歩き、「トリイ」を一礼しながらくぐると、ハゾルカドスに説明を受けながら「テミズシャ」で手と口を清め、大きな「シメナワ」に感心しながらレイモンドは社殿の前に立った。
……何とも不思議な空間だ……
霧のかかった後方の山を眺めながら周りの不思議な空気に心持ち圧倒されつつ、「サイセンバコ」に硬貨をそっと入れると、「ここのお祈りの仕方でございます」と言われた通りに二回お辞儀をして四回手を叩き、手を合わせた。
何を祈ったらいいのか考えていなかったレイモンドは、この道中の無事を祈ってから、もう一度頭を下げた。
……ルクトの神殿とは別の厳かさがあるなあ……
再び参道を歩きながら辺りを眺め、感心していると、リーザと詩人も、その幻想的な景色に感嘆の声を上げた。
(本当に不思議な場所だな)
(ああ…何故だか少し眩暈がするよ)
リーザの言葉にレイモンドは頷くと、入ってきたトリイの下で社殿に向かい礼をし、「外の世界」の市街地の街並みへと再び戻った。


「……さて……そろそろ遅くなってきたけど……どうしようか……」
この世界へと飛ばされた出発点の宍道湖に戻ってみると、傾き始めた夕日を湖面がキラキラと跳ね返していた。
湖を眺めながら何やら会話をしている人々を遠くから眺めつつ、そう言えばどうやって帰るんだろうか…と考えていると
(マスター、実はとあるお方から宴会の招待状が届いておりまして…)
(とあるお方⁇)
(詳しくは分からないのでございますけれども……美味しい料理とお酒が頂けるそうで……)
……宴会か……人が多いところはあんまり得意ではないんだが……
フォリスの町での凱旋パレードでの民衆の大騒ぎを思い出し、レイモンドは考え込む。
……でも美味しい料理というのは捨てがたいな……
食べたこともないような料理をみすみす見逃して帰ることもないか…帰り方もまだわからないし……とレイモンドは頷くと、
「じゃあ、その「宴会」の場所まで案内してくれるか⁇」
ハゾルカドスに道中の案内を頼み、次第に光を弱めていく日の光に目を細めた。


某国、島根県にある玉造温泉。
温泉特有の匂いが微かに漂う宿へと足を踏み入れると、入り口にたくさんの扉のついた棚が置いてあった。
ハゾルカドスに教わりながら、靴を下駄箱に収め、宿の人に案内されるまま宴会の部屋へと入った。
そこにはすでに大勢の人たちが楽しそうに会話していた。
……け……結構人がいるなあ……
案内されるまま、すでに食事の準備が整った席に座ると、すかさずお酒を注がれた。
……これもニホンシュってやつかな……
じっとグラスを眺めてから、一口飲んでみると、日本酒ではあるようだが、先に飲んだものとは口当たりなどが違うようだった。
どんな話をしたらいいのかもわからず周りの人たちを観察してみると、ふと、あることに気が付いた。
……え……あの人…目の色が……⁇
ルクトでは一度も自分以外に会ったことのない、左右で瞳の色の違う「オッドアイ」の人間が居たのだ。
しかも、1人ではない。
……向こうの人も……
こんな一つのところに集まるようなものなのだろうか……と驚き、もしかして…この国はオッドアイの血筋があるのか⁇ などと考えてしまったが、さらに見ていると、どうやら自分と同じく、違う場所から集まってきた人たちの様だった。
(……ま……まあ、いいか……それにしても、今日は不思議なことだらけだ……)
気を取り直し、昼間に習得した「ハシ」を手に取り、今回もまた見様見真似で「サシミ」を黒い液体に浸し、食べてみる。
(……ん……うまい……)
ルクト王国にも海はあるものの、ほとんどの地域が内陸にあるため、海の幸は高級品だった。
(ずるいでsu~~! 一人で贅沢してるでsu~~~!)
その様子に、詩人が恨めしそうな声を上げた。
(カニまであるのか!! 滅多に食えない高級品じゃないか!!)
今回ばかりはリーザも参戦する。
(……あ…ああ……ウマイデス……)
その勢いに圧されどう返事すればいいのかわからなくなり、火に油を注ぐような発言を頭の中で返し、二人の顰蹙(ひんしゅく)をかいながら、黒い液体の横にあった緑色をしたペーストの塊が気になったレイモンドは
(……なんだこれ……?)
と、少量を箸にとり、口の中に入れた。

「――――っっ!!?」

予想していなかった辛さに、思わず顔をしかめながら日本酒を流し込むと、
(天罰でsu~~~♪)
と、頭の中で詩人が嬉しそうに笑った。
……くそ~……なんか悔しいぞ……
涙目になりながら口で息をしていると、宴会場で楽しんでいた人たちが混浴露天風呂の「オンセン」希望者を確認し始めた。
(……オンセン……?)
その様子が不思議だったレイモンドは、コッソリと頭の中でハゾルカドスに尋ねてみる。
(この国ではあちこちに自然にお湯が湧き出しているそうでして……ここでは「美肌の湯」という効能で有名なのでそうでございます)
……美肌の湯……ね……
(……ん……? でも、あの様子だと、みんなで入るのか……?)
(左様でございます)
……なんですと……?
ルクト王国では温泉という文化は一般的ではない。
治安が行き届いていない場所も多く、初対面の人間とは例え同性といえども一緒に湯に入る習慣はなかった。
(……丸腰で他人と至近距離で風呂に入るなんて無理だ……)
安全な国ゆえの事なのだろうが、どうしても一緒に入る気にはなれず、無言で首を横に振ると、男性陣から「タオルを纏った美女と一緒に入れるチャンスだぞ?」と勿体なさそうに言われ、
(……!!? 余計に無理だ!!)
と、慌ててブンブンと首を横に振った。
その様子に、そこまで嫌ならしょうがないが……と不思議そうに首を傾げた人も居たが、少しすると皆で温泉へと楽し気に向かっていった。
その後姿を見送りながら
(……なんて恐ろしい国だ……)
と息を付くと、レイモンドの席へと4匹の猫たちが近づいてきた。
……? この猫たち……なんか雰囲気が普通の猫と違うような……?
そのうちの1匹が、レイモンドの皿にあったカニをタシタシと軽く叩いたのを見て、
「……? これを食いたいのか……?」
と、爪側の細い部分をパキン、と折り、取り出して皿に置いてみると、猫たちはゆっくりと食べ始めた。
……おお……食べた……
その様子に何となく和みながら、更にカニの身を集めていると、
4匹のうち1匹の猫が、じっ、とレイモンドを見つめた後、ひょい! と肩の上に飛び乗った。
「……わっ……?」
予想していなかった猫の動きに驚きつつ、振り落とさないように動きを止めると、その猫はレイモンドの頭の上へのぼり、とうっ!とばかりにジャンプをして、畳の上へと飛び降りた。
……な……なんだったんだ……⁇ それにしても……やっぱり雰囲気が普通の猫達じゃないような……?
左手に箸を握りしめたまま、猫たちをしげしげと眺めていたその時。

ゆらり……

空間が微かに歪むような感覚を感じ取り、レイモンドはハッ!と顔を上げる。
……あっちは確か…オンセン組が向かった方向……!

その方向へと視線を向けた、ちょうどそのとき。

耳をつんざくような、女性の悲鳴が響いてきた。
――まさか…魔物かっ!?
その悲鳴にレイモンドが立ち上がろうと身構えると、その直後にお湯を目一杯かけられているような音が聞こえてきた。

……って……もしかして……

その場で身構えたまま、レイモンドは別の事情で悲鳴が上がったことに気が付き、口元を引きつらせる。
……行かなくて良かった……かもな……
少し間をおいて、少しずつ帰ってきたオンセン組を確認していたが、不意にゆらりと空間が歪み『根の道』と呼ばれるものが開いたのを見て、瞬時にそれが帰り道のゲートだということを理解すると、
――しまった、これで帰らないとまずいかっ!?
突然の事に、うっかり松葉ガニの足を握りしめたまま慌てて立ち上がり、『根の道』へと飛び込んだ。


…………。
一瞬意識が途切れ、気が付くと、見覚えのある景色の中で、リーザと詩人が覗き込んでいた。
「お帰り。」
……戻って……来た……?
数回目を瞬くと、まだ夢から覚めたばかりのような感覚のまま、レイモンドは「ただいま」と頷いた。
どうだった? と興味津々の二人に、握りしめたまま持ち帰ってきてしまったカニを手渡すと
「平和で綺麗で、飯がうまくて不思議な国だったが……。ある意味恐ろしい国だった……。」
と、まだ夢覚めやらぬといった雰囲気のレイモンドは、ぽつりと呟いたのだった。


おしまい。



(※1) 誤りがあったので訂正(削除)します。
     →「雑記:ひとつお詫びが…汗




……という事で、オフ会のお話を何とか完結させることが出来ました~ ><;
一応……これで、絡むことは……出来たことになるのかなぁ……?
(ゆ…ゆるく絡んでみました…)

書き終えて改めて読み返してみると……
カルチャーショックに四苦八苦なレイモンドの巻…と言った感じになってました >ω<
思いがけず、自分の国を別の世界の人間が見て驚いている話を書くことが出来て、
面白い経験ができました~♪

実は『ここではきものをぬいでください』のネタを入れるつもりだったのですが
さすがに最近はその貼り紙は無いだろうな~…とボツにしました >ω<;

そして……
オッドアイの方がたくさんいらっしゃったので、私もビックリでした~。 Σ ><;
レイモンドのオッドアイについては…
本編ではちょっとばかり悲しい話があるのですが
(第3章辺りから少しずつ出てくる予定です)
本人はまだ思い出せていないので、今回は本人も殆ど気にしていませんです(笑)


ARCANA版『オリキャラオフ会in松江』を
最後まで読んでくださり、ありがとうございました m(_ _)m”

オリキャラオフ会in松江・2

いつもありがとうございます、こんにちは、ふぉるてです。
ただいまオリキャラオフ会のイベントに参加中でございます~。m(_ _)m”


イベントを企画してくださった、八少女さんのブログ「scribo ergo sum」はこちらです~


ええと、前回の「らくがき:オリキャラオフ会in松江」の続きです。



「…………」
トイレの個室で洋服に着替え終えたレイモンドは、まだ軽く痛む後頭部を抑えながら無言のまま外へ出た。
……この国は気を付けないと何が起こるかわかったもんじゃないぞ……。
先ほどの個室内での出来事を思い出しながら、途方に暮れる。
今から少し前……トイレの個室に入って鍵を閉めた後、着替えを置こうと真っ白に磨き上げられた便座に近づくや否や、いきなり蓋が開きだしたのだ。
予想外の出来事に、レイモンドは何者かが潜んでいるのかと反射的に後ろへ飛びのき、すぐ後ろのドアに頭をぶつけてしまったのである。
……気配がないから更に怖いんだが……
自動で開く便座、着替えをしようと服を横の壁に近づけた途端に流れ出すトイレの水、自動で点灯する明かり、自動で出てくる洗面台の水……
至れり尽くせりなのはありがたいのだが、そのたびに「これも勝手に動くのか」と、一瞬固まってしまう。
『わたくしたちが暮らして居る国と……こんなにも違う国があるのでございますね』
ペンダント型になった杖のハゾルカドスも、テクノロジーと言われているものが引き起こす、初めての体験や出来事の連続に驚いていた。
……この国は平和らしいから、トラップなんてないんだろうけど……。慣れるまでは大変そうだ……
そんなことを考えながら湖面を見つめていると
『そうでございました、マスター、この国では魔術はご使用にならないでくださいませ』
ふと、思い出したようにハゾルカドスが伝えた。
「ん? なんかまずいのか?」
『ええ、いろいろとまずいようでございまして……。ご使用にならない方が無難かと……』
自分達がここへ飛ばされてきたように、ほかにも不思議な力が働いているらしいこと、この国には魔術という物は存在していなという考えがあることなどを聞き、
「わかった…使わないことにする」
しばし考えた後、レイモンドは頷き、ハゾルカドスとの会話も思念に切り替えることにした。
「魔術が使えないとなると…いざってとき不便だなあ…。短剣も持ってくれば良かったか…」
(……マスター……それは更に問題でございます……)
この国では刃物など凶器になるものを持ち歩くと犯罪になることを聞き、レイモンドは驚いた。
……そこまで平和なのか……こんな国があるなんてな……。
(普段マスターが詩人さんにツッコミを入れるような感覚で他人をグーでパンチするのも傷害罪になりかねませんので気を付けてくださいませ)
……え……そこまで厳しいのか……
そんなことを考えていた時、ぐ~…っと腹の虫が鳴き、ここに来る前に何も食べていなかったことに気が付いた。
(マスター、昼食を取りに行きませんか? こちらの通貨「エン」も預かっておりますので……)
「金も預かってあったんだな、ありがたい…。
 そうだなぁ……とりあえず、何か食いに行くか……暖かいものがいいな……」
この日、列島へと強烈に流れ込んできたという寒気に、レイモンドは身を震わせながら頷いた。


ハゾルカドスから伝えられる案内を頼りに松江市内を歩いていたレイモンドだったが、ここでも目に飛び込んでくる景色はどれも新鮮なものばかりだった。
その光景を杖越しに見ているリーザや詩人たちも、興味深く町の景色に見入っている。
そして町の様子を見まわしていたレイモンドだったが、町ゆく人々のほぼ全員が持っている、四角く片面が光っている物体が気になった。
……なんだかみんな無心でいじってるけど……ありゃなんだ……?
さりげなく遠目に観察していたレイモンドに気が付いたハゾルカドスが
(あれは「すまほ」というもののようでございます。この国の人たちは、あれを持っていると、遠くにいる人と意思の疎通ができたり、自分の知らない情報を引き出すことができるのだそうでございます)
……この国の人たちはみんなテレパシーが使えるのか⁇ 全員が魔術師の素質があるとか……?
レイモンド達が住んでいるルクト王国でも、魔術師の数はそう多くはない。
その中でも、思念伝達で離れた場所の相手とやり取りが出来るのは、ハゾルカドスを使えるレイモンドなど、一部の魔術師くらいのものだった。
それが全員もれなく使えるとは……恐ろしい国だ、とレイモンドは脇見をしながら細い路地へと入る。
と、次の瞬間。

ゴン。

路地裏にやや張り出していた柱に頭をぶつけ、思わずレイモンドは頭を抱えてしゃがみこんだ。
「……っ痛~……」
(マスター……しっかり前を向いて歩いて下さいませ……)
……なんなんだ、このあちこちから伸びてる柱は……。
しゃがみこんだまま恨めし気にコンクリートの柱を見つめ、上を見上げると、黒いロープのようなものが何本も次の柱へと繋がっているのが見える。
(これは電柱と呼ばれるものでございますね。あの勝手に動くトイレや「すまほ」の動力の源が流れているそうでございます)
それが電気という、雷の兄弟のようなものだと聞いたレイモンドは、あの気まぐれで気性も激しく扱いが難しい雷さえも仲間につけていたのかと思わず感心した。
柱から食らった痛みの恨みも感心に変わり、電柱を手でペタペタと叩いていると
「お兄さん、外国の人かな?」
と、背後から突然老人の声が聞こえた。
日本語が分からず何と言っているか理解出来なかったレイモンドだったが、ハゾルカドスの通訳に、コクリと頷くと、
「もしよかったらここでゆっくり食べていってね。
 今日は冷えるでしょ…あ、そうだ、今日車で来たの? 歩き?
 お兄さん、お酒飲める? よかったら飲んでみて、あったまるよ」
と、透明に澄んだ液体を小さなコップに入れ、差し出された。
……珍しい香りの酒だなぁ……
クルマというのは、あのやたら早いスピードで走っていた鉄の馬車みたいなやつだよな、と思いつつ受け取ったお酒を見つめていると、
「珍しいかな? ニホンシュっていうお酒だよ。おいしいよ」
そう言われ、ハゾルカドスにも飲んでみましょうと促され、クイッっと一気に小さなコップを呷る。
口当たりのいい、上品な味だった。
「おいしいでしょ?」
その言葉に、レイモンドはこっくりと頷いた。
頭の中に響くハゾルカドス越しの思念で「わたしも飲みたいぞ!」といっているリーザの一言に
(……土産には……無理なんだろうなあ……)
と思いつつ、とにかくこちらの環境に慣れるべくレイモンドは意識を集中して老人の話に耳を傾ける。
そんなレイモンドの様子に老人は微笑み、
「温かいお蕎麦もあるよ、さ、良かったら食べていって」
そう言うと、笑顔で老人は小さな店へと招き入れた。




……ということで、だんだん楽しくなってきてしまったので、オリキャラオフ会in松江 の続きを書いてみました~~
(あまりがちがちに決めず動いてます……お昼くらいかな?)


長くなってしまったので、いったん区切りをつけます ><;

あ、ええと…とても便利なアイテム、ニホンシュを気に入ってしまったので勝手にお借りしてしまいました、すみません&ありがとうございます! m(_ _)m”
(ほかのお店にも少し仕入れられていた……? それとも裏で誰かが手配したのか…。不明ですが/汗)

実際に書き始めてみると、む、難しですね~…… ><;; どきどき…


宴会……こちらでもちょっとばかり挑戦してみようかと思っているのですけれども……うまくかけるかなぁ……(汗)
外から見ると、あまり口数が多い男ではないかもなので(たぶん)、もしかしたら今回の宴会はニンゲンとはあまり会話できないかも…??(考)
↑話しかけられれば割と気軽に返事はしますが…とにかく初めて触れる不思議の国ニッポンにビックリ中の模様…

全然絡めないかもしれないけど、がんばってみます~~ ><; 楽しいし、自分なりにやってみよう…


でも…今回は 何はともあれ参加すること自体が目標なので、流れに任せつつ、肩の力を抜いて行きます~。
もし勘違い・食い違いなどを見つけてしまった時は、笑ってスルーしていただけると助かりますです~~ m(;_ _)m” &ご迷惑をおかけしてしまっていると思いますが、す、すみません~(滝汗)


どうやって宴会場へ向かわせるか考えていなかったことに今更になって気が付きましたが……今回はこの辺で… orz

おまけ(?)

いつもありがとうございます。こんばんは、ふぉるてです。(><;)今日は寒い…

ちょっと頭に浮かんだので続きのオマケです。 >ω<

昨日のらくがきとの落差が激しいかも… orz

らくがき:オリキャラオフ会in松江


宍道湖にて (なんだかあちこちおかしな絵になってしまった ><;)


八少女さんのブログ「scribo ergo sum」はこちらです~


↓イラスト付きの、簡単な人物紹介です
ARCANA登場人物紹介(簡易版)


「……ぅどわっ!?」
どばしゃ~~ん!
湖の片隅で、突如派手な音を立て、水しぶきが上がった。
「……ぶはっ…!!」
ほんの一瞬の間を置いたのち、水面から顔を出す。
『び……ビックリしたでございます~……』
あまりに突然の事に、杖が呟いた。
……というか、ここはどこだ……?
無言のまま立ち上がり、キョロキョロと辺りを見回す。

某国、島根県松江市。
気が付けば、ずぶ濡れになりながら宍道湖の浅瀬にレイモンドは立っていた。
時空を超えた移転場所を失敗したのか意図的なのか、突然、水上…正確には水の上の空間に飛ばされたのだ。

……作者め……やりやがったな……

辺りを見回してみたが、この辺りには人は誰も居ない。
それどころか、リーザや詩人すらいない。
……飛ばされたのは俺一人か……
びしょ濡れになった前髪を掻き上げながら、そんなことを考えていると
『レイ! わたし達を置いて遊びに行くとはどういうことだ!』
杖を通して、リーザの声が響いた。
「わたし達を置いて……って、勝手に飛ばされたんだよっ…」
杖に向かってレイモンドが反論すると、
『ずるいでsu~~ 摂生に美味しいものを食べさせまいと抜け駆けしたでsu~』
と、恨めしそうな声が続いた。
「……だから――」
……なんでそうなるんだよ。
そう言い返そうと思った時、無意識に身震いをして、彼はようやく周りの気温に気が付いた。
水浴びをするにはまだ早すぎる季節だったのだ。
「うう……このままじゃ風邪引いちまいそうだ……とりあえずここから出よう……」
なおも何やら言い続けている詩人の言葉を杖の通信ごと切ると、
パキン、と高く澄んだ音を立てながら開いた黄金の輪の留め具を外し、水気をたっぷり吸いこみ重く体に纏わりついたマントを脱ぐ。
……これで多少は動きやすくなったか……
杖を小さなペンダントに変え、首にかけると、マントを右脇に抱えて、水の中をザバザバと岸へ向かって歩き出した。
両側に大きくスリットが入っているとはいえ、ローブが水気を含んだズボンの上に更に張り付き歩きにくい。
『マスター、タオルと着替えはわたくしが預かっております。
 どこか人のいない建物の中を借りて、着替えましょう……』
「やけに準備がいいな……」
……これは意図的にやりやがったな……
あとで覚えてろ、などと思いつつレイモンドが前方に目を向けると、
「ちょうどいい所に小さな小屋みたいなのがあるから、あれを借りるか……」
進行方向の岸辺に、赤い人間のマークと青い人間のマークがついた小奇麗な建物を見つけ、そこに向かって歩いて行く。
『あ……マスター……青い方の入り口に入ってくださいませでございます』
「ん?? ああ、わかった……」
何を言われたのか良く判らなかったが、先回りして気を使う杖に頷くと、
『ある程度ならば、わたくしめがご案内と通訳を致します。』
「それはありがたい……うっ、冷てっ……」
杖の言葉に頷きながら、レイモンドは岸に上がって外に設置されていた水道を使って頭から水を浴び、海水が混ざった湖の水を綺麗に洗い流すと、杖の案内に素直に応じ、小さな小屋へ近づき青い人間のマークが付いた方へ入って行く。
……ああ……そう言う事ね……
中の様子を見回して、レイモンドは杖の言葉に納得すると、ここにも人が誰も居ない事を確認し、やはり管理が行き届き小奇麗な個室へ入り鍵をかけた。


――つづく……のかな…??


……という事でオチも無いまま中途半端で話は終わりですが、ここで着替えて、松江市内に出かけるようです >ω< 人が居ない所からのスタート…
↑水浸しだと宿へはいきなり入れ無さそう…
(宍道湖の周辺を良く知らないのでウソも書いてありそうです orz
 深く考えずに書いてしまいました…)
いつもは銀の短剣も持ち歩いていますが、さすがに銃刀法違反で捕まりそうなので、転送前に置いてきてます。

ええと……実は、イラストだけで参加するつもりだったので、続きは考えていません orz すみませぬ
(何か浮かんだらUPするかもです ><; これもまた未定…)

着替えた後の格好や、行き先は、先日の予告の方に書いた感じで……
動きなどはガチガチに決めずに緩~く参加するので、矛盾(&作者の天然ボケなど)は華麗に(←謎)スルーしてくださいませ~ >ω<

雑記:思い切って参加してみることにしました

今日は一気に暑くなりましたね ><; こんばんは、ふぉるてです。


八少女さんのブログ「scribo ergo sum」はこちらです~


いつも楽しくお話をさせていただいている、ブログのお友達の八少女 夕さんの所で、
オリキャラのオフ会と言う企画がありまして……。

最初は「いいな~、楽しそうだな~…」と思いつつ、眺めるだけのつもりだったのですが
あまりにも楽しそうなので、思い切って参加させていただくことにしました >ω< 
(優柔不断過ぎてギリギリになってから参加…… orz
 あ、でも作品の期日自体は無いとのことで……)

ええと、ルール(?)は、松江市の名物や名所などを一つ以上…という事のようなので…

このブログからはレイモンドとハゾルカドス(ございますな杖)を
宍道湖に投下してみようと思います。(イラストで)

あまりガチガチには行動は決めていないのですけれども、
大まかに書いておいた方がいいのかな?? とういうことで…

宍道湖→お蕎麦→出雲大社(宴会場に お酒飲みに行くかも…)
みたいな感じで……行ってみようかな。温泉は…当事者(レイモンド)が全力で逃げている… ><;
(宍道湖以降は、こちらの世界の服に着替えさせます。
   ↑出雲大社に入れ無さそうな恰好なので
 ええと……黒いジャケット&ズボンに、白いTシャツがいいかな?
 装飾関係は額飾り以外はしまっちゃう&杖は小さなペンダントに変えます)


絡みは……複数人でのイベント、初めてなので うまく絡めないかも知れないけれど、
た、楽しめたらいいいな~~~ >ω< 

ええと…至らない所が多々ありますが、よ、よろしくお願いしますです~ m(_ _)m”
↑空気読めないかもしれない…
(&行動が、たぶん皆様の数倍スローなので…不安になる頃に動いているかもです…)

明日(4月7日)に、イラストをアップする予定です~~~(制作中~ )
……という事で、予告でした。

theme : 物書きのひとりごと
genre : 小説・文学

らくがき&雑記:夜桜 (&スランプについて真剣に考えてみた…)

いつもありがとうございます。
今日から4月ですね。 (>ω<;) 早い
こんばんは、ふぉるてです。

私の家の近くも桜が見ごろになりました。
……ということで、桜をテーマに何か1枚描いてみようかな~…と思いまして…



……あれこれ考えているうちに 夜桜になりました(笑)

桜って、昼間は清楚に見えるのに、
夜桜になると どうしてあんなに妖しく見えるんだろうな~…
なんて思いつつ描いてみました(笑)

今回、夜桜のライティング…をイメージして、
下からの光を考えながら描いてみたのですが…
慣れない事をすると……あううう…… orz

彼にも早く再登場してもらって、(彼なりに)突き進んでもらわねば… なんて考え中です。



話題は変わりますが……
ここしばらく、スランプ(&他の事)について
調べてみたりしながら真剣に考えておりました。

んで……。
たまたま昨年半ばくらいに、やふーのTポイントが期限が切れてしまうという事で、
そのまま捨ててしまうのももったいなかったので有料の占いをしてあったのですが……。

保存しておいたものを読み返してみたら、あるキーワードが目に飛び込んできました。


ええと…無為自然』 と言う言葉なのですが……

良く知らない言葉だったので自分なりに調べてみると、
何もしないという意味では無くて、努力はするけれど結果は天に任せると言うか、
自然の流れに身をゆだねる → 周りや自分などをコントロールしようとしない
という考え方の様です。

ああ~…そうか~~…!

なんて今頃になって勝手に一人で納得してしまったのですけれども……。

自分は色々、コントロールしようとし過ぎてるな~ と反省しました。
評価とか人の目とか…○○せねばならぬとか…(一般常識に縛られているというか)

……あ、社会ルールを破れとか、
人が嫌がることをしましょうね、という意味ではないです。><;
(自分がガチガチになって動けなくなってしまうほど縛られてしまう必要はないと言う意味です。)


この「コントロール」のお話……ちゃんと書こうとするとかなり長くなってしまうので
今回は割愛しますが……。

短く言ってしまうと、
○○を許せない という気持ちそのものが コントロールしようとしている証拠なのだとか。

この辺り(許せないもの)は、普段自分が考えているものの中で、
批判的な(拒絶している)考えの部分を見直してみると
どうやら答えが見つかりそうです。><;

(→例えば私の場合だと、
 構造上不完全な(未熟な)自分の作品を許せない…とか、
 読んでくれる人を不快にさせてしまうのではないだろうか…それでもいいのだろうか??
 ……とかが…スランプに繋がっている模様)
 → じゃあ完熟するのはいつなの? → たぶんずっと来ないね orz 
 不快に感じる箇所は人それぞれで、こちらでは全ては制御できないよね
 ……と言った感じです…


たぶん、批判そのものがいけないと言う訳ではなくて……。
無意識の所に「コントロール」が無くなれば、自然に気にならなくなるみたいです。


で、これは作品作りだけに限らず、応用すれば……
怒りも悲しみも焦りも恐怖も、
この辺りを「そもそも不可抗力なんだからしがみついても意味が無い」と考えると
無効化できそうな気がします。(支配欲や執着を手放す とも言えそう…)

どう思うのか、どう思われるのかは それぞれ人生観次第なので不可抗力ですね、はい……
どうなるか についても 神のみぞ知る…… orz



んで、この「無為自然」というやつ、一見簡単そうに見えるのですが
これを実行するには「自分も周りも(天も含む)信頼する」という事が最低条件で……
(信用できないから自分の思う(表面的な思考に沿った)ように動かそうとするらしい)

これがまた……難しそうですが ><; 少しずつやってみよう~~



……あ。スランプの方を書き忘れるところでした。

ちょっと参考になりそうな(HowTo関連の)サイトを読んで調べてみたのですが
スランプってジャンルを問わず
「本来の自分(のやり方や感覚)が出せない時」に起こるみたいです。

なぜそうなってしまったのか? は、
自分の感覚より周りのやり方のほうが良く見えてしまったから…とか
色々あるらしいのですが
共通することは「自分を信じられなくなっている」ということ、のようです。

んで、先ほどの無為自然の話とちょっと被るのですが
「他人を自分の考えで動かそうとしても、そりゃあ無理だよね~~」
の逆説ですが
「自分の事をやろうとしているのに、他人のやり方でやってもそりゃあうまく行かないよね~」
……となりそうです。

他人の成功談で、必ずしも自分が成功するとは限らないと言うか……
そもそも成功って……いや、そこを書くときりが無くなるか……


……ということは……。
自分の感覚を信じて、やりたいこと(楽しいor心地よいと感じること)をやって
もしそれに対して
(例えば…うまく行かないに決まってるとか、面白くないとか、有り得ないとか)
一部の人に批判的なことを言われる様なことがあったとしても、
(↑言われるのかもと思ってる辺り、自分を信じていない…)
それはその人が「コントロールしようとしているだけ」だから
気にする必要もないのよ~(気にする場所が違うのよ~) 
それよりも、やりたいことやったほうがいいよ~~ …… という事……かな??

無理に信じ込むのではなくて、
「疑う必要もない」と考えたほうがいいのかも……?

スポーツ選手の場合などは「恐れる必要はない」という事を納得できるように考える練習をするそうで…


全ての人に受け入れられるものは存在しないとすれば
全ての人に否定されるものも存在しないんだろうな……。
これが良く耳にする「良いと言ってくれる人の為に書く」に繋がるのかな……。

あるとすれば……自己否定……?
「自分は本当はどうしたいのか」が大事なのかもしれませんね。


……結局長々書いてしまいました(汗) ><;; 


あれ…ええと…何が言いたかったのだろうか~…と言いますと……

ブログの方針は 来るものは拒まず去る者は追わず な感じで流れに任せつつ
作品作りは 自分が楽しいと思うようにやってみて(未熟はいつまで経ても未熟なので)
その「楽しい」が遊びに来てくださる方にも「楽しそう」と思ってもらえたらラッキーかな
まったり心地いいものを探しながらやって行こう~~~
という方向で行こうかな~~ と……。(改めて)

「無関心」ではなくて「信じて任せる」という感じなのかな~…?

遊びに行くタイミングやコメントとかも元々かなり気ままな方ですが… ><;


スランプ……

自分の場合は『完璧主義』が……。
これが かなりネックだったようです…… orz
(& 人の目は気にしないとか考えておきながら、どれだけまだ気にしてたんだろ~…とも思いました……)


あ。あと、スランプとはちょっと違いますが、
(すぐに完成しないような大作を手掛けているクリエイターへのアドバイスにあったのですが)
小説で言うと……長編を書いている時に陥りやすいものの一つに
「規模が大きくなりすぎて、どこから手を付けたらいいか分からなくなった」
と言うのがあるようです。

その場合は、小さなブロック(単位)に切り分けて、ひとつずつ出来上がるたびに
自分で「OK」を出していくことが良いそうです。
(OKライン と言うそうですが……。詳しくはまだ良く知りません)

……これを使って、第2章の、各シーンの単位でブロックにしてみようかな……?
(最初の頃に何が書きたかったのか分からなくなった…は、
 ネタ帳に書き留めて防止することにしました)

もう少し…うん…あともう少しで、きっと再開できる……はず…… ><;;

theme : 物書きのひとりごと
genre : 小説・文学

プロフィールっていうのか?

ふぉるて

Author:ふぉるて
ご来訪ありがとうございます~。
オリジナル長編ファンタジー小説
「ARCANA」を書き始めました。

アップはかなり遅いのでRSS(更新お知らせ機能)を使うと便利かもです。
ただ今、世界設定に四苦八苦中…

ぴよ
まだまだひよっこじゃな
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念のため…
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このブログ内の全ての文章及びイラストの著作権は、特に表示が無い限り「ふぉるて」にあります。
(頂き物、紹介した作品などは各作者様に著作権があります。)
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